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アオモンイトトンボの孵化

このページの最終更新日は2005年8月29日です.


アオモンイトトンボIschnura senegalensis (Rambur) は近畿地方では太平洋側で数が多く,もっとも普通に見られる種です.♀には♂と同じような斑紋の同色型と♂とは異なる色彩の異色型と呼ばれる2型があります.2型とも行動パターンは同じです.
アオモンイトトンボ 同色型の交尾 兵庫県芦屋市 2005/5/5撮影 交尾は午前中に多く見られます. アオモンイトトンボ 異色型の交尾 兵庫県芦屋市 2005/5/8撮影 水域中の植物や水域近くの草むらの植物に止まって交尾しているのが見られます.
同色型♀の産卵 兵庫県芦屋市 2005/8/23撮影 単独で産卵します.生きている植物の葉や茎,水面上に倒れた枯れた植物などに産卵します. 異色型♀の産卵 兵庫県芦屋市 2005/8/23撮影 産卵は午後に多く見られます.

 

植物の茎に産卵されたアオモンイトトンボの卵 2005/8/28撮影 浮葉植物の茎や葉を調べてみると多くの卵がみつかります. (この写真の卵の大きさは下の卵の変化や孵化の1/2に縮小してあります)
枯れた植物の茎に産卵されたアオモンイトトンボの卵 2004/8/14撮影 水面上に倒れてやわらかくなった植物の茎には多数の卵が見られ,時には卵寄生蜂(ホソバネヤドリコバチ科 またはタマゴヤドリコバチ科)が寄生している卵も見られます. (この写真の卵の大きさは下の卵の変化や孵化の1/2に縮小してあります)

 

卵の変化 2005年8月23日から28日まで  産卵植物から取り出した1卵を1日1回撮影しました.この卵は8月29日に孵化しました.この卵の大きさ 産卵時0.79×0.15mm.孵化少し前0.86×0.20mm.

8月23日撮影 8月24日撮影 8月25日撮影 8月26日撮影 8月27日撮影 8月28日撮影

 

アオモンイトトンボの孵化 2005/8/27撮影 イトトンボ科の孵化時間は短 い.このアオモンイトトンボの場合は卵から出始めてから,前幼虫を経て一齢幼虫になるまでに要した時間は2分21秒でした.均翅亜目のトンボは孵化する数時間前から卵の前端が伸びてきますので,孵化を確実に見ることができます.下の図の数字は時刻(時:分:秒)です.
孵化前に前端が伸び始めるのはわかりにくいですが,アオモンイトトンボの場合は約2時間前のようです.前端が伸びた後,胚(この場合前幼虫になるもの)が伸びてきて卵の前端に達すると孵化が始まります.右端はまだ卵から出始めていません.
左端の13時45分02時:分:秒に卵から出始めました.中央(出始めて37秒後)が前幼虫です.この前幼虫の時期に,どの種でも少し動きが止まります.その後胸部背面が盛り上がり,一齢幼虫が出てきます.
触角,下唇腮,肢が抜け出て,最後に尾鰓が出ると孵化が終了です.アオモンイトトンボでは一齢幼虫になるとほとんど同時に気管が一気に白くなっていくのが見られます.

 

アオモンイトトンボの一齢幼虫 2005/8/26撮影 見えている卵はまもなく孵化する卵です.一齢幼虫の大きさ 体長約1.02mm.頭幅約0.31mm.触角の長さ約0.33mm.尾鰓(側鰓)の長さ約0.79mm.