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アオイトトンボとコバネアオイトトンボの卵寄生蜂

このページの最終更新日は2003年9月15日です.


近畿地方に生息するアオイトトンボ属はアオイトトンボ,オオアオイトトンボ,コバネアオイトトンボです.アオイトトンボ,コバネアオイトトンボは生息環境,産卵場所が似ており,共通の卵寄生蜂もいるようです.オオアオイトトンボは産卵場所が異なるためか,卵寄生蜂も違うようです . このページの拡大率はすべて同じ(卵のページとも)です.(図1-6のみ拡大率は2倍です)


図1-1 :1.産卵中のアオイトトンボ 2.アオイトトンボの生息環境

図1-2アオイトトンボとコバネアオイトトンボに寄生していた卵寄生蜂 アオイトトンボに寄生する卵寄生蜂で,広く分布しているようです.滋賀県で採集した植物からも,兵庫県から採集した植物からも出てきました.写真の寄生蜂はコバネアオイトトンボの卵に寄生していた卵寄生蜂です.腹部の下側から,植物の産卵痕方向に伸びているのが,産卵管です.植物はサンカクイでこの植物の中には,アオイトトンボの卵があります.下の写真は産卵管を腹部で押し付けるようにしながら最も深く産卵管を差し込んだところで,このときに産卵するようです.触角で植物の内部を探るように動かしながら植物の表面を歩き回り,産卵痕付近で産卵動作をすることが多いのですが,写真の蜂はちょうど産卵痕のところで,産卵動作をしています.この♀の大きさは体長1.20mm,触角の長さ0.35mmです.

図1-3 :羽化した♂は植物の周辺を歩いたり,静止していたりしていますが,♀が来ると♀の上に乗り,場合によっては交尾します.交尾時間は数秒程度.その後♀はすぐ産卵を始めます.

図1-4 :この卵寄生蜂はコバネアオイトトンボから出たものですが,生息環境がよく似ているアオイトトンボにも寄生します.空気中だけでなく,水中や水面でも羽化します.1.コバネアオイトトンボの卵の中の卵寄生蜂の幼虫.2.卵の外に出た幼虫. 3.蛹♂ 4.蛹♀

図1-5: 1.♂の頭部は黄色をしています.2.羽化中の♀ ♀の頭部は黒っぽく,♂と区別できます.

図1-6卵寄生蜂の翅(大きいほうが前翅,小さいほうが後翅)この写真は他の写真の2倍に拡大してあります.

図1-7 : 1.卵寄生蜂の幼虫は卵の中で成長した後,蛹化前に卵を食い破って、卵の外に出て,植物組織の適当な隙間で蛹になります.成虫はトンボの産卵痕からではなく,自分で別に穴をあけて出てきます.図中のaはアオイトトンボの産卵痕です.bはらん寄生蜂が出てきた穴です.2.アオイトトンボに寄生していた別の卵寄生蜂♂ アオイトトンボからは上に書いた種とは別のやや小さい色の違う卵寄生蜂も出てきました.この寄生蜂の大きさは♀で体長0.80mm,触角の長さ0.65mmです.♂は♀に比べてより長い触角を持っています.