エゾトンボ科の羽化殻の比較

このページの最終更新日は2002年12月9日です.

 


近畿地方で記録のあったエゾトンボ科のトンボは7種です.この7種の羽化殻の中で,エゾトンボ, ハネビロエゾトンボ,タカネトンボ,は形がよく似ています.


私が観察したそれぞれの種の特徴を下にをまとめてみました.羽化殻の大きさと形,斑紋,背棘のようすなどで同定します.下の文中の27-31(30.1)mmは大きさが27mmから31mm程度で,数個体の平均が30.1mmということです.2-9節は 第2腹節から第9腹節という意味です.下の文中で使った羽化殻の大きさは写真で示した長さです.頭幅と腹部の最大幅も測定してみましたが,頭幅は羽化殻では羽化時に広がっているものがあり,参考程度です.数値は数頭の平均です.腹部の最大幅は腹部の中で最も広い部分を測定したもので,数頭の平均の値です.下の写真の6,7,8,9は第6腹節,第7腹節,第8腹節,第9腹節です.

 


全形(拡大率は同じです)

1  コヤマトンボ  Macromia amphigena amphigena Selys 羽化殻の大きさ27-31(30.1)mm.頭幅8.8mm.腹部最大幅12.0mm.8節の側棘はその節の1/4の長さ,9節の側棘はその節の1/3の長さ.背棘は2-9節にあります.

2  キイロヤマトンボ  Macromia daimoji Okumura 羽化殻の大きさ28-30(28.8)mm.頭幅7.5mm.腹部最大幅11.8mm.8節の側棘はその節の1/3の長さ,9節の側棘はその節の1/2の長さ.背棘は3-9節にあります.コヤマトンボにくらべて爪が長く,胸部の中肢横のとげが鋭く長いことでも見分けられます.

3  オオヤマトンボ Epophthalmia elegans (Brauer) 羽化殻の大きさ36-41(39.7)mm.頭幅8.2mm.腹部最大幅16.0mm.8節の側棘はその節の1/3の長さ,9節の側棘はその節の1/2の長さ.背棘は3-9節にあります.大きさだけで見分けられます.

4  エゾトンボ Somatochlora viridiaenea Selys 羽化殻の大きさ22-27(25.0)mm.頭幅7.4mm.腹部最大幅8.1mm.8節の側棘はその節の1/4の長さ,9節の側棘はその節の1/2の長さです.背棘は3-9節にあります.9節の背棘は上向きに出ていますが先端は曲がっています.ハネビロエゾトンボ,タカネトンボとよく似ています.この3種は7-9節の背棘の形で見分けますが,変異がかなりあり,個体によっては見分けにくいことがありますので,幼虫の場合は羽化させて確認するほうがよいでしょう.生息環境なども参考にしてください.エゾトンボの幼虫は湿地,湿地横の溝などに生息しています.ハネビロエゾトンボは湿地中の細流,林の中の細流で底は泥ではなく,砂やれきがあるようなところで,落ち葉の下や石の下で見つかります.タカネトンボは林間の池の,落ち葉の下などに生息しています.しかし,ほとんど同じ場所に3種とも生息するところもあります.

5  ハネビロエゾトンボ  Somatochlora clavata Oguma 羽化殻の大きさ23-25(23.9)mm.頭幅7.2mm.腹部最大幅8.8mm.8節の側棘はその節の1/4の長さ,9節の側棘はその節の1/2の長さです.背棘は3-9節にあります.3種の中では背棘が比較的まっすぐで上方にむかっています.9節の背棘は大きく,他の2種より曲がり方が小さいことで見分けられます.

6  タカネトンボ   Somatochlora uchidai Foerster 羽化殻の大きさ21-25(23.5)mm.頭幅6.6mm.腹部最大幅8.3mm.8節の側棘はその節の1/4の長さ,9節の側棘はその節の1/2の長さです.背棘は3-9節にあります.9節の背棘はエゾトンボ,ハネビロエゾトンボに比べて下を向いています(先端が体に近い) .

7  トラフトンボ   Epitheca marginata (Selys) 羽化殻の大きさ23-26(24.1)mm.頭幅5.5mm.腹部最大幅7.8mm.8節の側棘はその節の1/4の長さ,9節の側棘はその節の4/5の長さ.背棘は3-9節にあります.体の形,背棘の形から他と見分けられます


 

 

コヤマトンボとキイロヤマトンボの比較  体の形が違いますが,その他下唇腮,爪などでも見分けられます.